「虐殺の後遺症いまも」〜黒柳徹子のカンボジア報告〜

黒柳徹子のカンボジア報告 放送日:2008年8月3日(日曜日)ごご2時?3時25分 テレビ朝日系列


【カンボジア概略】

国名 カンボジア王国
(Kingdom of Cambodia)
国土 日本の約2分の1
人口 約1,400万人(日本の10分の1)
国民 クメール人90%、ベトナム人5%、
中国人1%、その他、少数民族
言語 クメール語
宗教 大乗仏教(イスラム教が2%)
産業 人口の7割が農業従事者
(主に稲作)
平均寿命 58歳
  MAP


【歴史】

フランスの植民地でしたが、1954年に独立しました。
1970年から1991年にかけて内戦が続きました。
特にポル・ポト政権が支配した時代(1975年〜1979年)には、200万人もの自国民が虐殺されました。
政権が自国民を殺したのです。
中国の文化大革命にならった極端な共産主義を実現しようとしました。
農民以外の知識人はほとんど殺されました。残酷な拷問の末に。
農業以外のものは全て否定されました。
家族、教育、宗教、人権、伝統文化、貨幣など。

この悲惨な出来事がカンボジアの発展を停滞させました。
知識人が殺されたことは致命的でした。医者、教師など国民生活の基礎を支える人たちがいなくなったのです。
主に男性が殺されましたから、男女比がいびつになり、年齢構成もゆがみました。
現在では、男女比は平均化したそうですが、年齢構成は、30代が最も多い若い国になりました。



【気候】

日本と同じモンスーン地帯に属し、米作が中心です。
米は、日本米のように粘りがなくパサパサしていますが、美味しいです。
チャーハンやパエリアには最適だと思いました。
日本より南に位置しているので、気温は高く蒸し暑いです。
果物が抜群。バナナ、パイナップル、ライチ、マンゴスチン、ポメロ、
アボガド、などなど。6月はハスのシーズンで、ハスの実を塩ゆでにしたものが美味しかったです。



【生活】

主食は米。副食は野菜が中心。メコン川で捕れる魚は、あまり美味しくありません。水牛の肉を食べましたが、美味しくなかったです。
総じて国民の食生活では、タンパクが不足しているように思いました。

住居は都市をのぞいてすべて高床式。メコンデルタなので、常に洪水の危険があります。
 
国民の交通手段はバイクで多く、1,000人あたりバイクの所有数は250台。 4人に1人という高い割合です。
携帯電話を持つ人は1,000人のうち75人で、固定電話より携帯電話が圧倒的に多いそうです。
貧富の格差の拡大から、1日1ドル以下で暮らす人が人口の34,1%を占めています。結果、児童労働(4歳?14歳)を余儀なくされています。
小学校に入学する子どもは99%ですが、5年生になるときには63%に減ります。働きに行くためです。行き先は首都プノンペンに沢山ある縫製工場です。
1ヶ月50ドルで働きます。
安い労働力を求めて外国企業が集まります。

○識字率は73,6%(15歳以上)。
○乳幼児死亡率1,000人あたり66人。(日本は3人)
○妊産婦死亡率10万件あたり473人。(日本は10人)
○電化率は20,1%で田舎では電気がありません。
○料理には木を燃やします。(88%)
○孤児が47万人います。



【黒柳徹子さんの取材先】

  プノンペン市内にある虐殺博物館
学校だった建物に知識人が収容され拷問され殺されました。
拷問の道具や殺された人の写真が残されています。
     
  プノンペン郊外にある殺害されて埋められた場所
 (Killing Fields)。

自分で穴を掘らされ、そこへ突き落とされて生き埋めにされた。
いまは、記念墓地になっています。このような場所は全国に300カ所近くあるそうです。
     
  幼稚園(プノンペンから北上しコンポントムで)
幼稚園で教えることは"学校へ行くことの楽しさ"だそうです。
小学校に入っても途中で止める子が多いからです。
勉強する意味が分からないのだと思います。
     
  地雷除去現場
この国の地雷を取り除くには300年かかるといわれています。
黒柳さんは防弾チョッキに身を包み、現場を見学しました。
不発弾の爆破処理も見学しました。
     
  保健センター(更に北上し、スツントレン州)
メコン川をボートで渡りました。
この地域は、村が離れていて、医療機関へのアクセスが困難です。
保健背インターへ来るように促しても、なかなかきません。
巡回スタッフが村々を回って、それを補っています。
妊産婦の事故が多いので、介助スタッフの教育、訓練もなされていました。
お産はほとんどが自宅です。難産だった場合、助ける手段がなく死に至るケースが多いと聞きました。
乳幼児の死亡率が高いのも、アクセスの悪さが大きな原因です。
     
  少数民族の村で
水は400メートル先の川まで汲みに行きます。
子どもの仕事です。
そのまま、飲料水として飲んでいます。
煮沸するには薪が必要だし、面倒だからやりません。


【総論】

カンボジアは若い国です。識字率も高く、勤勉な国民です。
日の出前に起きない者は怠け者、と言われます。
現在、国の歳入の63%が国際援助です。
教育と健康面に対しての知識と援助が特に必要だと感じました。
 
微笑みの国、もてなしの心をもった国民、
貧しいけれども、ほっとする国です。




【感想】
直井謙二さん

先日、黒柳さんのユニセフの番組拝見しました。
1988年、カンボジアから帰った田川さん一行をバンコクで迎えたことを懐かしく思い出しました。
オリエンタルホテルのベランダで黒柳さんも交えて食事しましたね。
番組はいまのカンボジアを奥深く取材していて、やるなーという感じでした。
番組のなかで、孤児を預かっている施設のおばさんが「ほうっておくと孤児が養子ビジネスの商品にされてしまう」と言っていた場面を見て、2001年、このテーマで取材し、挫折したことを思い出しました。
フランス人を初めとする欧米人がまるでペットショップで犬やネコを買い求めるようにカンボジアの子供たちを求めている姿を目の当たりにしました。
管理している政府の役人は明らかに袖の下を受け取り、さらには親や親戚も無関心かひどい場合は金を無心していました。
パリ支局と合同で養子ビジネスとその後の養子を追うというテーマで企画をたて取材には入ったのですが、養子候補の子供の半数がエイズで候補からはずれ、その子供たちは養子準備の外国語の勉強も受けられない現実を見て、企画自体があまいことを突きつけられ、取材から撤退しました。
まったくだらしがなく、惨めだったことを思い出しました。

田川さんのようにダイナミックではありませんが、また9月2日、NHKのラジオ夕刊でベトナム・カンボジア国境をしゃべります。
時間があれば聴いてください。

増井めぐみさん

黒柳徹子さんの観ました。
いま、現在の姿なんですね。注釈がないと、少なくとも日本の子供は戦争前の社会にでてくる歴史の昔の風景と思うかもしれませんね。
赤ちゃんの死亡原因に『下痢』というのは驚きでした。
『幸せな家族』という名の孤児院で、何度も出てくる医者志望の彼女。
もうあの若さにして大人びた表情が印象的でした。
若者から出てくるコメントが、日本の若者みたいに『自分の将来の向上』ではなく 素直に『人の為、この孤児院の為の向上』という視点の違いにもギャップを感じながら、些細な悩みにたまに落胆する自分の精神年齢の未熟さを感じました。
私も仕事で何度か孤児院を訪れましたが、日本の孤児院は設備は整っていますが 暖かさはカンボジアほどないような気がします。あの寮婆さん?があたたかい人だからなのでしょうか。
世界各国の子供達の『いま』を同時に流したらどこが一番裕福で、どこが一番貧しいのでしょう。
徹子さんは本当に気質が日本人離れしているというか、なんでも自分の身体で受け止め キャパがひろくて素敵な素敵な女性ですね。

荒木茉莉子さん

カンボジアの番組を観ました。
いい番組でした。心にしみいり、あたたかいものが、流れてきました。
あまりにもたくさんの思いで、心も頭もいっぱいになり、言葉もありませんでした。
今、やっと書けるようになりました。

ツーライムさんの笑顔が浮かびます。世代が同じだからか、印象的でした。虐待されて、頭の上が陥没しているとおっしゃっていましたね。ショックでした。ひとりぼっちになってしまって、どんなに心細くさみしい日々だったでしょうか。でも生きて、人間て、強いのですね。肩から腕にかけての湿布、私と痛いところが同じです。ツーライムさんの 子どもたちは、皆 素直そうでしたね。ツーライムさんを見て 育っているからなのでしょうね。野上アナウンサーが帰るときに お土産を渡しながら、「幸せにね。これを見たら私を思い出してね。」とおっしゃっていましたね。人間て さみしいから、あたたかく、優しく、おだやかに微笑むのでしょうか。
お水をくんでいる、少女たち。お水は 重いでしょうね。誰ひとり、不満な顔もしないで、心が豊かなんですね。
若い野上アナウンサーが とてもよかったです。子どもたちと年が 近いから、お兄さんのように慕って、微笑ましかったです。あの孤児院のこどもたちにとっても、一生の思い出になったことでしょうね。

こんなに すばらしい番組、日本中のこどもたちに観てほしいです。幼稚園や小中学校、少年鑑別所。スポンジのように柔らかい心を持っているこどもたち全員に みてほしいと願います。そうしたら、いじめや登校拒否や死にたいと思っているこどもたちが もっと少なくなるのではないでしょうか。夢や希望をもてるように なるのではないでしょうか。

新谷たか枝さん

今を一生懸命に生きる姿に感動しました。
もの静かなカンボジアの人たちの笑顔がとても印象的でした。
赤ちゃんや学校で学ぶ子供たちの姿からは、明るい光りを感じます。
「手を差しのべなくては!」と全ての場面から感じる番組でした。

                                                                                     田村照代さん

良い番組でした。
ユニセフの活動が随所に現れ、寄付金が生かされている事がいつも以上に感じられ安心しました。
何も産み出す事のない愚かな争いがこの地球上から消えて欲しいと、強く思います。
それにしても、飲める水を何と私達は無駄に扱っているのでしょう。
水を汲みに行く少女達の様子を見て、深く考えさせられました。

小林郁子さん

●カンボジア報告  感想です。
今のカンボジアは経済も徐々に回復 20年振りに訪れた国の変化した様子が映像にありました。虐殺もなくなり 身の安全は確保されたとはいえ、地雷だけはこれからもずっとカンボジアにあるのですね。様々な番組で地雷除去を見ました。撤去するまでに300年もかかるとの話でしたが、もっと早くどうにかならないだろうか。。。と思います。
教育や医療の前に 食べることが何より大事と 感じました。
食生活が豊かな事が その国をはかることにもなるはずです。
未来は今があってこそ。栄養面での充実を・・と願う内容でした。
私も羽のない鶏をみたのは、はじめてでした。

人口の47.8パーセントが18歳未満とのこと。
今回登場した子どもたちも、優しい瞳のこどもたちでしたね。
黒柳さんも子どもに声をかけたり その気持ちが伝わってきました。
子どもたちはこの取材の事はうまく理解してない?にしろ、いくらかは記憶に残る子どももいるでしょう。それぞれの子どもの成長で その国が良くなったか悪くなったかを知ることにもなると思います。

野上アナウンサー お疲れさまでした。汗だくでしたね。
最後 孤児院の院長から「お元気で 幸せにね」という言葉がありました。
「幸せにね」という言葉は あのご婦人の優しさを感じます。
私は 番組を見て登場した子どもたちや人々とはそれっきりになってしまいますが 皆、幸せになってほしいと思います。
日本で放送されましたと カンボジアの取材の皆さんが見れるといいんですが。
夏休みの休日 家族で 親子で見てもらいたい番組のひとつでした。
日本の子どもたちに見てもらいたい番組ですね。

加藤詔子さん

内戦から20年も経つのに未だに毎日が地雷の危険と隣り合わせで暮らしている人達が何かに怯えてる目をしていたように見えたのは私だけでしょうか、
「幸せな家族」の子供達をお世話をしているトーラエムさんの肩の絆創膏が痛々しく目に焼きついています。
勢作の皆様のの強い願いも終始バックに流れる「ハナミズキ」のメロディーから感じられました。

「薄紅色の可愛い君のね
果てしない夢がちゃんと
終わりますように、
君と好きな人が、百年続きますように、」

と、歌詞を思い出して胸が熱くなりました。(私の好きな歌です)
この歌にあるようにこの先、皆が好きな人と百年づつ生き繋いでいく事が出来たら、そんな世の中になる事を願いたいと思います。
映像で今何が望みですか?という野上さんの質問に、一人の少年が
「この建物がもう少しきれいになって、もっと食べ物があれば良い」といってい ました。
日本に住む私達は、幸いにも世界の長寿国になって、毎日食べる物に恵まれながらも、さらに美味しい物をと贅沢な国民になりました。
今この国で毎日捨てられている勿体無い食べ物の山を思い出して、罪悪感を感じてしまいました。
私にできることは今のところ少しの募金ですので、来週早速行って来ようと思います。

新谷たか枝さん

今を一生懸命に生きる姿に感動しました。
もの静かなカンボジアの人たちの笑顔がとても印象的でした。
赤ちゃんや学校で学ぶ子供たちの姿からは、明るい光りを感じます。
「手を差しのべなくては!」と全ての場面から感じる番組でした。

石嶋洋子さん
拝見しました。頭蓋骨がずらりと並ぶ光景ショックでした。
自分が生まれた後の時代に実際にあんなことがあったなんて、平和な日本に生まれたことを有り難く思います。
医師のいる所まで行かれないような子供達に予防接種を受けさせるユニセフの活動はいつもながら素晴らしいと思いますし、それを伝える田川さんの仕事も素晴らしいと思います。
一つ質問なのですが、世界的に食糧の値段が高騰してきて、男性アナウンサーが行った孤児院では食糧の確保が厳しくなっていくと思います。ユニセフからもあの施設に募金が回るのでしょうか。そうでない場合、番組では不定期で寄附が入るとは言っていましたが、あの施設に寄附をすることってできますか?

(田川記)
ユニセフは孤児院をサポートしていません。なぜなら、孤児院が出来れば出来るほど孤児が増えます。親が孤児院に捨てに来るのです。なので、ユニセフは孤児院をサポートすることには消極的で、むしろ里親制度を推進していて、なんとか一般家庭に引き取ってもらって育ててもらうよう努力をしています
悪質な孤児院は子どもを売ってお金儲けをしたりするらしいのです。いわゆる養子ビジネスです
番組が取材した孤児院は、経営者が本当に善意の人なので上手くいっています。直接募金を届けるルートはありますが、ユニセフ経由では届きません。

【黒柳徹子さんからのメッセージ】