心にハゼの灯を



        



『ハゼの木』を知っていますか?
そうです、樹液が身体に付くとかぶれます。紅葉がとても綺麗です。実がなります。この実にロウ分が含まれています。

この写真のハゼの古木は山口県田布施町にあり、町の記念木に指定されています。
毛利元就の産業政策の名残です。

町の有志が、このハゼの実から、昔通りの製法でロウソクを作ってみよう、そして町の名物にしようと、思い立ちました。
ボクは昨年立ち上がった『ハゼの実ロウ復活委員会』の活動を取材して番組を作ろうとしています。

            
                                  
実を採取する会員

          
皮の部分に多くのロウ分がある               臼で皮と実を分離する 
              
           
                皮を蒸す(30分)

       
立木式搾り機(くさびを打ち込んで圧縮する)          流れ出るロウ 

 
60分のドキュメンタリー番組はスカイパーヘクTV(CSデジタル)の750チャンネル(Jドキュメント750)で来年2月に放送されます。

 
背景はハゼの花です。
 このページの写真は岡部正彦さん、河内美鈴さんのご協力を得ています。



取材報告1999年8月8日と9日

 【ロウ花作り】
 絞ったロウは暗緑色です。これを溶かして水に垂らします。これを“ロウ花”といいます。花びらのように見えるからでしょう。これを夏の太陽に晒します。紫外線が色素を破壊して白いロウになります。
 晒す作業は3週間かかり、太陽に熱せられると溶けるので30分おきに水をかけて冷やします。
 大変な作業です。

 【ポマード作り】
 漂白したロウを使って“ポマード”を作るのが今回のメーンイベントでした。
 材料は“ヒマシ油”“ヒマシ硬化油”“ロウ”です。
 これを75度くらいに溶かし、5ミリの厚さでパットに流し込み急冷します。
 30分すると無添加“ポマード”の出来上がりです。
                  

             
                 “ロウ花”を作っています                                 
 ポマード作り。上記の材料を溶かします。          出来上がったポマード
        

             
              出来上がったポマードを使った“田布施発ニューヘア”

            
            理容室になった町長室
           ほとんど無理矢理に町長(寺田幹生さん)はそのポマードで整髪された
            果たして、このポマードは田布施町の名産品になるだろうか?(写真:岡部正彦さん)



取材報告(12/4、12/5 '99)
 始めて実の採取を取材しました。
 実はしっかり枝に付いていて、簡単には落ちません。
 「腕は折っても枝折るな」という諺があること学んだ会員は慎重でした。
 (写真は岡部正彦さん撮影)
 

                 
        記念木の採取                      会員はアイデアマン揃い

                     
               腕は折れてもくっつくが木の枝は折れたらくっつかない
                折れた枝には翌年、実がならないそうです

                     

       会員はクリスマスミサに使う燭台を制作した           作品集
            (岩城窯)



最終取材(12/23から12/26まで)
 口紅作りに挑戦し、テストしている会員(写真左)と自作のローソクを持って、クリスマスミサに参加した時の記念写真(写真右)。
 (写真は岡部正彦さん撮影)

             



感想ありがとうございます。

神辺貴昭さん3/18

お借りしていたビデオをお返しします。

 内容拝見しました。手作りの話ですが、番組制作そのものが手作りという感じがいたしました。
田布施町の風景も見ることが出来てよかったです。
町長は何者ぞ?
ハゼの実からロウを作り出す人々の喜びの様子が素朴でいいですね。このような楽しみを持つことが人生の中で大切な事と思われます。
また、最初は祝詞で神式かと思えばX'masで教会へ…と、この宗教観も笑えていいですね。
町にあるハゼを大切にしようというモチーフがよく現れた作品でした。もちろん田川さんの思い入れも十分現れていましたよ。

 難点は音楽でした。正直言ってうるさいです。オカリナ、ギターとアコースッティックなサウンドで気をつけているのでしょうが、ドキュメンタリーというとすぐ音楽を流すテレビ番組にちょっと嫌気がさしています。なんの音も入れなくてもセミの鳴き声や風の音や虫の声がないっているはずです。全く無音というのもまた田舎を表現しているのですから十分です。

 昔のNHKの新日本紀行を観ると音楽はほとんど入っていません。テーマ曲くらいでしょう。
 いまの番組は何故あれ程、音楽を入れるのか…。
映画でもテレビドラマでもそうですが、役者の芝居が上手いと音楽は入れずらいです。逆に下手だからこそ“音楽でごまかす”となってします。
あまりにも音に無神経になってしまったのでしょうか。ウオークマンで音楽を聴きながらマンガを読む学生も多いです。頭の中でどのようになっているのでしょう。
マンガが面白ければ音に集中力が欠けるので、きこえない状態になっているはずですが…。
音については、またそのうち。 

澄田 定さん2/22

ひとつの強い力から始まり、みんなの協力で一つの物ができた。
それ等を愛情を込めて素直に撮った。
知ってる顔、顔、顔、その分、愛着もある、楽しく参加もした。
“心にハゼの灯を”の番組、隅々まで創り手の心があり、
ひとつひとつすべて手作りの味、もっと他の人に見せたい自慢の物である。
感謝感謝ありがとうございました。

升光常雄さん2/17

  実感言語

  ハゼの木の背景は冬の黒い雲の方がいい
  ああ ここにもある 過去への窓口が
  ボクの里の斜め東前の小屋の岸に
  冬のよどんだ 黒い雲を背景に
  地の寒さから生え出たように
  真直ぐな一本の黒い
  太い幹のハゼの木があった
  黒い稲妻のような 葉のない枝の梢が
  寒風にさらされながら 黒い雲に震えている
  小枝の股に垂れる 無数のハゼの実は
  ときどきやって来る
  ひよ鳥とカラスの冬の非常食だ
  あのハゼの木は もう ない
  あの木を倒したのは 風の悪意か
  人の暮らしのもくろみか
  確かに今はない
  ああ 過去はバーチャルなのか

  宿井の二百五十年のハゼの木を
  ボクは知らない
  澄んだ空を背景に
  ひねもす海の波のように
  横に広がるハゼの葉は
  地の恵みの温もりを
  天に向かって合唱する
  図太い幹の 女体のようなうねりは
  一期一会の別れるあとか
  二百五十年の宿井のハゼの木よ
  知っているか 俺達が
  自転車を漕いで登った あの 曲がった坂道を
  あの実感を

  気まぐれの刹那をデスプレィに求めて
  コマンドをクリックする人達は
  体験の深さでしか測れない
  言葉があることを 知っているだろうか
  結末を恐れないバーチャル言語が
  土の遊びを知らない子らのうえで ほくそ笑む
  言葉を知らない赤ん坊が ピクチャーで
  ものを考えるように
  ハゼ蝋を復活しようとしている人達は
  不慣れな しぐさの実感で
  過去の言葉を探している
  木材で圧縮機も創った 皆で
  熊本へ見学にも行った 皆で
  ハゼのビンテージを髪に塗って
  ドンキホーテイのような振る舞いもした 皆で
  そうだ 彼等は心との会話に
  手押しの車に いっぱい いっぱい いっぱい
  いっぱい 実感言語を積みたいのだ

福島 千代さん2/14

はぜの実蝋のビデオ早速みました。 委員会のみなさんのピュアな気持ちがとても尊いもので、自分はなんと俗世間的かと考え込んでしまいました。

脇田貞美さん2/14

長い間ビデオをお借りしてすみませんでした。
実家に行く用事があったので、持って行って母と見ました。

母が散歩の途中でひろった実のついた枝がハゼと似ていたのでもしや「ハゼロウ横浜支部か!」と思いましたが、残念、葉の形が全く違いました。

岡部さんがコーヒーを飲むあのなんとも言えない美味しいんだか不味いんだかわかんない表情が面白かったです。

安田裕史さん2/8

「ドキュメント・もう一つのニッポン」・・・拝見しました。
 以下に思った点を記します。

1) 蝋燭がハゼの実から出来ることを知りませんでした。
   いや正直に言うとハゼという植物さえ知らなかったのかもしれません。
   魚のハゼは知ってましたが。
   相変わらずの「植物音痴」でスミマセン。

2) TSPの若手に酷評されたとのことですが、無理もないかも知れません。
  彼も含めて僕らは、常に「商業ベース」の番組作りを強要され、ネタも時勢にあったタイムリーな物で、            それを如何にテンポ良くたたみ込んで見せ、その中に如何に沢山情報を凝縮するか・・・で勝負をかけているわけで、その渦中にいる人間にとっては何とものんびりした、間の抜けた作品に映っても仕方ないでしょう。
  僕もその渦中にいる人間です。 ただ、委員会の彼らが妙に生き生きと魅力的に見えたのは何故でしょう?

3) その委員会の彼らが、インタビューであれほどまでに自分の思いをしっかりと語っているのに驚きました。
 それは取材者との距離のせいなのか? 或いは、彼等がそれほどまでに「ハゼの木」に心酔しているのか?・・・
   その根底は分かりませんでしたが、それぞれに語られる話が僕は一番面白かった。
    常々思うのですが、情熱を持って語られる話というのは、その発信者がどんな人物であれ人を引き込む力があるじゃないですか・・・主婦有り、役場の人有りで色々な人物が、全く普通の市井の人々が、聞いていて思わず引き込まれる話をしてくれているのに、素直な新鮮さを感じた次第です。(特に前半のインタビュー)

4) 画面にルーズソックスの女の子たちが見えましたが、彼女たちの参加理由や思いも聞いて欲しかったと思います。

5) 最近、キャスターの鳥越俊太郎と「21世紀は地方の時代だ」という話をたびたびするのですが、今回の作品を見ていてもそのことを感じました。
  「町おこし」「村おこし」とよく言われますが、行政だけで声高に叫んでいても始まらない話で、如何に民間の末端までも巻き込んで・・・というよりも、その末端がどれだけ「元気」でいて、情報の発信源になれるか?ということ。
「元気」だというのは、別に「若い人間」が沢山いると言うことではなくて、今回のように如何に志と情熱を持った人間がどれほどいて、何をアピールできるのか?という事ではないかと思います。
  都会が倦怠感と脱力感の吹き溜まりになってしまった今、やっぱり地方の「やる気」は大事だと思う。それが田布施町の一つの小さな試みであっても・・・やっぱり、人間「情熱」ですよね・・・
  さっきVTR見たばかりで、全然まとまらなくてスミマセン。 どうか思いをくみ取ってやってください・・・。

6) 疑問を二つ・・・VTR中にテロップだけで1カット出てきた迫陽英さんなる女性は何者なのか?
 田川さんのデジカメ撮影と聞いたのに、画面中2カットほどENGのカメラマンが見えたのは何故なのか?(他局取材だったらスミマセン)

いずれにしても、「大変羨ましく」拝見しました。時間が経てば、また違った感想が出てくるかもしれませんが、見終わった直後としては以上です。
ありがとうございました。
 俺も「スカパー」やらせてもらえないかなぁ・・・?

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