水面の見えない巨大ダム

                  

〜ピートランドを行く〜
 

放送日:2001年10月21日(日曜日)ごご11:00から

「素敵な宇宙船地球号」(テレビ朝日系列)

再放送:2002年5月4日(土曜日)ごご11:00から (BS朝日で放送)

(BS放送です。この枠は1時間枠で、この番組以外に、もう1本放送されます。)

 〜ご視聴ありがとうございました。頂いた感想をこのページの最後に掲載しました。〜

 日常、園芸で使っている「ピートモス」が地球上の何処に、どのような状態で存在しているか、知っている人は少ないでしょう。

 そして、それが地球環境にどのような役割を果たしているのかを知っている人は、もっと少ないでしょう。 我が国では、主に土壌改良材(保水性、通気性 保肥性)として使われています。           

と、偉そうなことを言いますが、ボクも知りませんでした。

3年前から田舎にブルーベリー農園を作ろうと思い、今年までに250本を植えました。
ブルーベリーを植えるときに必ずピートモスを使うようにと、書いてあります。
ブルーベリーは酸性土壌を好み、ピートモスは酸性だから、という理由です。
その通りにしていましたが、ピートモスが何であるか知りませんでした。

 今年、カナダ産のピートモスを大量に使いました。

 それがきっかけで、ピートモスの事が気になって、調べ始めました。

 ピートモスは主としてミズゴケの遺体が堆積したものです。
 1年に1ミリから2ミリが堆積します。
1メートルのピートモスは500年から1,000年かかる計算になります。
 中緯度地方で平均10メートルくらいは堆積しているようです。
 ピートモスはスポンジのように水を吸います。これが巨大なダムといわれる所以です。

 洪水を防ぎ、水を浄化します。
 高緯度地帯に存在していますから、温度が低く、コケの遺体は腐りません。

従って、コケの体内に空気中の炭酸ガスを取り込んだまま存在します。

炭酸ガスの空中放散による温室効果を防ぐ役割も大きいのです。

               バージンピートランドに咲いた花たち
         この下にミズゴケが5メートルから10メートル堆積しています

              

 採取するには、ダムのように水を含んでいるピートランドの水位を下げ、乾燥させる必要があります。

 同時にピートランドはその機能を失うことになります。    
 明らかに環境破壊です。
 我々が、ピートモスを堀りつくすことは地球環境に重大な影響がある、と気がついたのは、2,30年前です。
 そして、保全に努めれば時間はかかるが再生可能な資源である事にも気がつきました。

     

ピートモスを採取している土地     開発が終わって放置され水溜まりになっている

 

     

イギリスではシャベルで       カナダでは大型掃除機で 表面を吸い取ります

 ヨーロッパでは300年前からピートモスは利用されていました。
 最も古い記録は2,000年前から、というものもあります。
 主に燃料として、石炭と同じように採掘されてきました。
 堀りつくしたらなくなる有限の資源でした。
 ドイツとイギリスを取材しましたが、考え方は同じです。
 掘った跡地は放置され水たまりになっています。
 ドイツでは、わずかに環境保護団体が復元の試みを始めていました。
 イギリスでは English Natureという政府機関が開発の終わった土地を管理し、復元を試み始めていました。
       

 両国とも、復元は研究段階です。

 日本では、北海道の石狩川流域やサロベツ湿原でわずかに生産されていますが、需要を満たすことは出来ません。
 ほとんど、カナダからの輸入に頼っています。

 カナダでのピートモス産業は、60年か80年の歴史しかありません。
 環境に与える影響に気がついたのが早かったといいます。
 加えて、新しい産業だったから、復元に向かう意識転換も早かったのです。
 カナダでは、ピートランド復元の研究が進んでいて、その研究結果に基づいた大がかりな復元作業が行われていました。
 彼等は世界のリーダーだと自負しています。
 ピートランドの「Wise Use」(賢い利用)を実践しています。

 地球は我々のかけがえのない財産です。
 ワイズユース(賢い利用)を実践し、地球を長持ちさせること、これが番組のテーマです。

                

            ドイツのピートランドで見つけたブルーベリー



プロ野球日本シリーズ第2戦の放送が延長になって1時間40分遅れて0:40分からの放送になりました。
“こりゃ、誰も見てくれないな”と諦めていましたが、なんと視聴率が3.5%もあって、シェア17%でした。
沢山の方々に見ていただいて、嬉しかったです。
有り難うございました。(田川)

森田智子さん(福井市)

 先日のテレビ朝日の番組、「水面の見えない巨大ダム ピートランドを行く」を拝 見しました。
当地ではテレビ朝日を直接見ることができないので、東京にいる子どもたちに録画を頼み、数日遅れで見ることができました。
リンゼイ夫人、広枝さんからの連絡でこの番組を知り、なんとしてもみたいと思い、 あっちこっちの友人に録画を頼んだり、見るように勧めました。

 すばらしい番組でした。
 わたくしは福井県敦賀市樫曲地区にある中池見湿地保全活動に関わるうち、この湿 地が50メートル以上も堆積した泥炭湿地であり、それは世界でも類を見ない深さで、 放送で取り上げられた泥炭湿地の重要性以外に、過去の地球環境変遷のデーターベー スとしてとても貴重なところだということを、リチャード・リンゼイ教授から教えて いただきました。リンゼイ先生はここにも来てくださっています。

   泥炭湿地の上を歩いていても、ふかふかと他の所とは違う感触は得ても、水苔がど のように地下で泥炭になっていくのか素人には分かりかねることがたくさんあります 。
湿地に手をつっこんで、去年の水苔、さらにそれ以前の水苔を掴みだし、絞って見せ てくださったので、よく分かりました。たっぷりと水を含んだ水苔の感触、伝わって きました。

   また、昨年、泥炭採掘の巨大な機械をカナダのケベックで行われた「国際湿地保全 シンポジューム」の会場で見ましたが、具体的にどのように使われ、さらに収穫後の 湿地回復をどのように計っているのかも分かりかねました。それがわかりやすく、ダ イナミックに捉えられていてとても参考になりました。
ゲーリー・フードさんの精力的なお話ぶりもお人柄がよく出ていました。
飛行機の窓からではちらりとしかわからない湿地の全容も、よく捉えられていて、湿 地の下に息づく生命たちにも思いを馳せることができました。

 なによりも、リチャード・リンゼイ先生、辻井達一先生、ゲーリー・フードさんな ど、ここ数年とても大切に思ってきた方々が総出演だったことです。
リンゼイ先生、辻井先生が雨模様の湿地を動き回り、一生懸命解説されていたのも印象的でた。
天候も足下も悪い中、撮影されたクルーのご苦労も忍ばれました。

 今後、このビデオを地域で泥炭湿地の重要性を広めるための学習素材として活用さ せていただきたいと思います。

 わたくしは、日本泥炭湿地保全協議会(JPCC)という組織に所属して、日本に泥炭 湿地の重要性を広める活動をしています。昨年できたばかりの小さな会です。
下記のホームページをのぞいてくださり、中池見湿地へもお越しくださいませ。

よい番組を作ってくださってありがとうございまいした。
「湿原の風」

広枝リンゼイさん(ロンドン在住)

昨晩、食事の後、2人で見させていただきました。
恐らく視聴してくださった方の半分以上は私のような一般人で、泥炭のことなど今まで考えたこともましてや聞いたこともなかったという人が多かったと思いますし、また専門家レベルの方が見て納得してくださる内容にするというのは、ある意味「チャレンジング」だな、と思っていましたが、本当に見事に構成されていて、Richardも私も昨日は感動させていただきました。

CGが本当に良くできていて、Richardは「This is Great!」と何度も叫んでおりまし た。
私ではなく専門家が言うのですから間違いありません!
空からとった映像を見ても「こういう感じで撮ってほしかったんだ!」と自分が思い描いていた映像とまったく一緒だったことに喜ぶとともに驚きさえもしていました。
3国で何日もかけて撮影したものを30分番組にあれだけわかりやすくまとめることは本当に大変だったと思います。
田川さんのプロデュースする番組のファンがたくさんいるのもよくわかります。 見事な番組で、Richardが番組制作にかかわらせていただいたことを誇りに思っております。
くれぐれもTVクルーの皆さんによろしくお伝えください。

先日、アメリカの研究機関、ワールド・ウォッチが地球温暖化問題が深刻になってい るという声明を公式にだしたという報道がありました。
(アメリカがそういう行動をしているというのにはなんとなく矛盾を感じますが)その中で、湿地の開発、森林伐採が1番の問題としてかかげられていました。
番組でも紹介されていたように泥炭は二酸化炭素を多く含んでおり、どんな理由にせよ堀起こしておくということは、1国単位ではたいした問題ではないかもしれませんが、世界を1単位としてものを考えると大きな問題です。
番組で紹介していたように、復元というコンセプトがないまま開発を行い、映像にあったようにそのまま放置するということが行われていくとその周辺の問題だけではなく地球全体の地球温暖化の進行を早めることになります。
樹木希林さんの最後のナレーションにあったように、今がよければそれでいいのではなく、私たちの次の、またその次の・・・世代にこの地球を引き継いでいくためにも、泥炭湿地を含んだ湿地保全という問題はもっと注目されていくべきであると思いますし、その意味でも今回の番組はおおいに貢献したと思います。

地球温暖化を心配している間に、戦争や菌で世界が滅びてしまうのではないかと心配 です。

北村愛さん(高校生・和歌山県)

テレビ拝見させていただきました。
田川さんの作られる番組は、田川さんの人柄がとても出ていてすごく大好きです。
人の考えと言うのは、実に様々で、中には、私には、理解しがたい物もたくさんあります。
自然の恵みを貰って私達は生きているのに、その自然を破壊しているのも私達だと言う現実、とても寂しい気持ちになりました。
破壊するのは、一瞬でも、もとどおりになるには、遥かに長い時間が、かかると言う事を私達はもっとよく分かるべきだと思いました。

岡田榮生さん(テレビディレクター)

拝見しました。1時間40分遅れということでVHS録画しておいて、本日、見せていただきました。
ピートモスは我が家でもプランター栽培などで使っていますが、それがどんなものか、この番組を見るまで全く知りませんでした。
ですから、感心したり、納得したりしているうちに、いつの間にか過ぎた30分でした。

こんな重要な問題なのに、全くなにも知らなかったことに恥ずかしさを通りこして憤りのようなものを感じます。
きっとピートモスをて園芸に使っている多くの人が、私と同様だろうと思うと恐ろしくなります。
本当に大切な事を教えていただきました。お礼申し上げます。

それにしても、この番組の被写体は湿地帯とピートモス、ミズゴケだけで、カメラマンも苦労したと思いますが、CGをうまく使ってメリハリをつけ、イギリスとカナダの違いが映像で分かるように構成してあったのは流石だと思いました。

ナレーションには、ちょっとひっかかるところが何箇所かありましたが、好みの問題です。
とにかく、久しぶりにとても重要な事を教えていただきました。
ありがとうございました。次の番組の放送が決まったらまたお知らせください。

  舘山英雄さん(江戸川大学)

こんばんわ。
マスコミ自主講座の舘山ですが、始めに、宣伝の方は舘山ネットワークを通じて広範囲にわたって転送させて頂きました。
いくつか、感想を頂きました。
自分の感想と合わせて、書きたいと思います。
自分の感想は、
1つ目にピートモスの紹介を踏まえた上で、問題提起を番組内で行っていたので、メリット、デメリットが簡単に理解できました。
2つ目に、カメラワークが上手い!非常に魅入ることが出来ました。
3つ目に、比較がなされていたので、利用者にとって考えなければならないことがあった、
っということです。
両親にも見せました。
感想は、こんなのがあったの今まで知らなかった、って言ってました。
最近、園芸に凝っていたので、存在を知って、買う、って言ってました。
あと、解りやすかった、とも言ってましたが、ナレーションが聞き取りづらかっ た、っと言ってました。
きききりんさんに失礼ですが、素直に書きます。
友達の意見は、ドキュメンタリー、あんまり見ないけど、映像がきれいで良かった、とか、解りやすかった。と言ってました。
女の子で、演出になると思うのですが、ピートモスを手で地面に手を突っ込んで取るところが、大切だって言ってるのに、制作者側がそんなことしていいの?と言ってました。
演出は田川先生なので、申し訳ないのですが、そう言ってました。
えらそうなことをつらつらと書きまして、ごめんなさい。失礼致しました。

福田 俊さん

こんばんは、野球で遅くなりましたが、寝ずに起きていて見ました。
学生の時に尾瀬で国立公園の管理員(アルバイト)をしているとき尾瀬ケ原が高層湿原で水苔が何千年も7〜9m堆積してできたということは知っていましたが、
田川さんの番組を見て広大なピートランドのエアーショットを見て感動しました。
いながらにして、ドイツ、イギリス、カナダの状況も、あたかもそこに行ったような 疑似体験ができた気がします。ピートモスを採る言葉の違い、カナダのWise Useなど 大変勉強になりました。ブルーベリーの1カット(ローブッシュでしょうか)も感動。
素晴らしい番組をありがとうございました。録画して永久保存版にしました。

しばざき みゆきさん

ピートモスみました。
よく園芸用でつかっているアレってこんな風にしてできてきたものだったんだあ……と初めて知りました。
日本は消費するばかりのように思いますが、日本でもなにかできないのでしょうか。
一昨年でかけた京都の苔寺の冷たくシンとした空気を思い出してしまいました。

平間節さん

 昨夜、番組みました。HDは製作者にとっては大変でしょうが、見る方にとってはた とえ普通のテレビであってもいいですね。
10年前、ロンドンに住んでいたのに全く知りませんでした。
番組は大変面白く見ました。特にナレーションが良かったですね。

  梶 文彦さん

うっかりしていて、後半しか見られませんでした。
少し過激なイメージをいだいていましたが、非常にやさしい番組に仕上がっているように思います。
分かりやすくていいと思いますが、ついでにピートモスの親戚のような尾瀬などのような高層湿原についても触れていただけると良かったかなと思います。
もし触れていたらごめんなさい。

軸 丸 勇士さん

先日ご連絡いただきましたピートモスの番組拝見しました。
ちょっと予定した時間より,40分程遅れましたが。
 学生はまだ来ていませんので感想は聞けませんが,
環境教育のそれには有効に働らくと思います。
カナダのその種の取り組みを見つつ。
かってはピ−トモスが燃料として使われたり...。
また貴殿のホ−ムパ−ジからも伺えます。
何故この様に水草だけがこの取材した場所にのみ例えばカナダでは7m(堆積を1mm/年とすれば7千年かかる)も積もってきたか,水の有効利用との絡みは無いのか等のことまで踏み込んでもらえると別の観点からも興味が湧きます。
でも30分番組ですからしかたないのかも?
各地の取材を通して国による違いが垣間見えたようです。

将来的には水が戦略物資になろうとしていますこの頃,水との絡みもあります。
日本では実感しないこの裕福な水の恩恵をどう捉えるかですね。
ではまた。

松浦 庸夫さん

野球中継の影響もあって、録画がうまくいかず冒頭の数分くらいが切れてしまいま した。全体を理解するにはそれほど支障はなかったと思いますが。
イギリスとカナダでの言葉の違いの裏側にある考え方や取り組み方の違いが、印象的 でした。
カナダよりもイギリスやドイツの方が環境先進国だと思っていましたから。
また、私腹を肥やすことに躍起になる日本のお役人と違って、カナダでは政府と環境 保護団体がうまくやっているのも頼もしいですね。
大学の研究グループということもあるのでしょうが、女性や若い世代の活躍ぶりも目につきます。
体力を要するスポーツの世界でもない限り、日本ではおおよそどんな分野でも、若い世代や女性というのは、なかなか思うようにやれない壁がありますから。また面白い番組を作って下さい。

     
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