この遺跡は中国の揚子江の上流にあります。
 そこは四川省の省都である成都市から北へ50キロの広漢市です。

 この遺跡から1986年に大量の青銅器が発掘されました。




 この青銅器はその芸術性と製造技術と巨大さにおいて見る者を圧倒します。

 
 1) 縦目仮面(たてめかめん)



 2) 神樹(しんじゅ)



 3) 立人像(りつじんぞう)



 4) 金の仮面


 
 これらの文物は、揚子江流域に高度に発達した文明があったことを物語っています。 年代は3500年前と推定されています。現在の世界史の教科書には世界に四つの古代文明が あったと記述されています。つまり、エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、 黄河文明です。三星堆遺跡はこれらの文明に匹敵する文明なのです。世界史の教科書を 五大文明に書き換える事になるかもしれないと、考古学者は興奮しています。
 
 番組では、出土した文物や現存する資料を駆使し、日中の考古学者の協力を 得て王国の推理、再現を試みます。青銅器は祭祀に使用されたと考えられます。
縦目仮面は王様の顔。
神樹は太陽が宿る樹。これは太陽信仰の証し。
立人像は祭祀を司ったシャーマン。


 
 緑の部分は稲作が行われていたことを現しています。稲の栽培には太陽が必要ですが、この地方は1年の内、260日くらいが霧に覆われています。三国志の時代、この地方を“蜀”(しょく)といいましたが、ここには、こんな諺があります。“蜀の犬は太陽に吠える”たまに太陽が顔を出すと犬がビックリして太陽に向かって吠える、という意味です。強い太陽信仰があった背景です。
 
 縦目仮面を古代の技法で再現する実験を行っています。
 高岡短期大学の三船温尚先生が引き受けてくれました。



 
 4月25日(土曜日)15時からでした。(ご視聴ありがとうございました)
 感想を頂きましたので掲載します。

入江恵子さんからの手紙。

先日の“三星堆”の番組、拝見しました。
一年くらい前に、田川さんが成都へ行かれたこと、そのときお話して下さったこと(麻さんの、元祖麻婆豆腐がとても美味しい、とか)を思い出しつつ、あのときにおっしゃっていた番組がいよいよ放送になったのだなぁと思いつつ、拝見しました。

 ポスターなどで、“三星堆”展のことを見て、あの仮面のようなものは、一体何だったのだろう、と思っていたのですが、番組を見てなるほど、そういうものなのかと知りました。
 古い神話や昔の書物(山海経でしたよね)と照らし合わせていくと、あんなにぴったりはまっていくなんて、とてもおもしろく、わくわくしてしまいました。
 個人的には、能にある『西王母』が、思っていたイメージとは全く違う姿を持つことに驚きました。
 そしてやはり、何千年も前の人たちの技術のすごさ、―それは当時のやり方で仮面を復元した先生のご苦労でとてもよくわかりました―をつくづく感じ、その先生の言葉にもありましたが、「あの時代の人とは、心の持ち方が違う」ということを改めて感じました。
 あの頃の人が、太陽が出ることを尊び、感謝し、太陽が出ますようにと、あの仮面に祈りを捧げていたということ、そういう精神が、今の日本人になくなりつつあるのではないかと、それが自然を壊して目先の利益を追求する今の私たちの生活につながってきているのではないかと、そんなことを考えながら胸が少し痛む思いで見ていました。
 実際の展覧会にも是非行ってみようと思わせる内容でとても興味深く拝見しました。

 1月15日(すごい雪でしたね)の、徹子さんのモーリタニア訪問の番組もそうでしたが、今回も、時や場所の隔たったところに、人間の本当の姿、本来あるべき姿、私たちに何か示唆を与えてくれるような姿がある、それをブラウン管を通して見せてくださっているところに感動を覚えました。

木内公子さんからの手紙。

 いつも新しい眼をひらいて下さり感謝しております。
 丁度数日前「三星堆、私は誰だかわからない…」という世田谷美術館の券をいただきました。
 気になる券でしたので、折りも折りのお電話、嬉しうございました。
 何処の、どのような仮面にも心を引かれて目が向きます。
 変身と、なぞと、ロマンと、たくさんの思いが込められた造形には興味がつきません。
 明快な解説でよく分かりました。
 今回の黄金のマスク、奇妙な縦目仮面、なぜ縦目なのかb。
 そういえば、能の大飛出も豪快な神の役に、かけられますね。神の往き来すると信じられる大樹、天と地を結ぶ梯子他、種々の説。神話も聖書も古事も、ほんとうにほんとうなんだ!と何ですか、私などすぐ信じてしまいます。
 識った事の楽しさを忘れぬうち、美術館へ行って参ります。
 ズラーッと13もの不思議な仮面その他をみてまいります。
 季節の変わり目、くれぐれもご自愛くださいませ。
 
 
 迫力のある文物が中国からやってきます。
 ご期待下さい。
 1)世田谷美術館 4月25日から7月20日
 2)京都市美術館 7月28日から9月6日
 3)福岡市美術館 9月12日から10月18日
 4)広島県立美術館 10月27日から12月8日