生命の短いダイヤモンドの国 〜黒柳徹子のシエラレオネ報告〜 放送日:2003年9月28日(日曜日) |
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【シエラレオネのデータ】 シエラレオネ共和国(Republic of Sierra Leone)。 西アフリカに位置し、人口約450万人。面積は北海道の90%。 平均寿命38.3歳。5歳未満児の死亡率1,000人あたり316人(3人に1人が死亡)。 言語は英語(公用語)他に現地語。 宗教はイスラム教60%、キリスト教23%。 1787年、英国内の解放奴隷を移住させ、首都・フリータウンを建設した。 1991年から軍事政権の腐敗を非難して始まったRUF(革命統一戦線)のゲリラ闘争は大規模な内戦へ発展した。 反乱軍によって、人類史上、見たことも聞いたこともない残酷な人権侵害が行われた。 腕を切る、目をえぐる、子どもを誘拐して少年には麻薬を与えて人殺しを強要し、少女は誘拐されレイプの対象となった。 この内戦は2001年まで10年間続いた。 |
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【内容に関して】 21回目の訪問国は西アフリカのシエラレオネでした。 この国は良質のダイヤモンドを産出します。 その採掘権をめぐる争いが10年にもわたる内戦を一層激しいものにしました。 反政府軍はダイヤモンドを密輸し、その代金で武器を買い、人殺しをしました。 密輸は隣国のリベリアを経由して行われたと言われ、リベリアのテーラー大統領が深く関与したという見方が一般的です。テーラー大統領は最近、ナイジェリアへ亡命しました。 シエラレオネのダイヤモンドはConflict Diamond(紛争ダイヤモンド)と呼ばれ、購入した人は人殺しに荷担したことになる、と言われました。 露天掘りの現場では、内戦が終わった今も、子どもたちが労働力として使われました。 1日の報酬は1杯のご飯だけです。 彼らが見つけたダイヤモンドがボクたちの社会に登場するとき、それは資産価値のある超高価な商品になっています。ボクは彼らが一心不乱に働いている現場に立って、この矛盾に胸がつまりました。 子どもたちが、いつまで経っても、豊にならない構造。ご飯1杯で生き延びるために、学校にも行かないで働かなくてはならない現実。 このような厳しい現実が、今尚、世界中でおこっている事実を多くの人(特に若い人に)知って欲しいと思っています。 |
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空から見るダイヤモンド採掘現場 | 子どもたちが働かされています | ||||||||
発見の瞬間が見たかったんだけど・・・ | |||||||||
この内戦では、人類史上、類を見ない最悪の人権侵害が行われたと聞いていました。 それは本当でした。大人たちは両腕を切られたり、子どもたちは兵隊や慰安婦にさせられました。反政府軍の仕業です。腕を切ることは、選挙で投票が出来なくするため、とも聞きました。しかしもっとも悲惨なことは、子どもたちが訓練を受けて、人殺しをさせられたことです。恐怖心をなくすため、コカインなどの麻薬を与えられたそうです。 子どもは、大人にほめられれば何でもします。人をたくさん殺せば殺すほどほめられます。その大人たちは、内戦が終わった今、どこかに消えてしまいました。心に深い傷を負った子どもたちだけが残りました。 15歳の少年は8歳の時から兵隊にさせられました。何人も人を殺した少年は、 「夜、目をつぶると、いろんなことが頭に浮かびます。でもいま、一番会いたいのは、本当のお父さんとお母さんです。」そう言って、毛糸の帽子で目をこすりました。 17歳の女の子は、10歳の時に反政府軍の兵隊に草むらに連れこまれ、レイプされました。それから、ずっと敵に連れまわされ、食事を作らされたり、荷物を運ばさせられたり、労働をさせられました。そしてその間、ずっとレイプされ続けたそうです。運良く、助けられて帰ってきましたが、両親は殺され、親戚の誰もいなくなっていました。 |
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レイプされ妊娠している少女 | |||||||||||
大地は緑で覆われています。お米や野菜の生産には十分すぎる雨が降ります。 ヤギや羊も豊富な草を食べて肥っています。海岸線も長く、蛋白源の確保も容易です。 でも、この国の子どもの3人に1人が5歳までに死にます。国民の平均寿命は38.3歳で、世界で最も命の短い国です。10年続いた内戦の結果です。 病院と学校が政府の象徴として集中的に破壊されました。いま、一番必要なものは子どもの命を守る病院と、そして学校です。 |
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ご飯をヤシ油で炒め、芋の葉っぱと小魚のソース、味はカレー味 | 小学校で | 洗濯をする少女 | |||||||||