舞台チャンネル
「喜劇四幕 マカロニ金融」
喜劇のお好きな皆様へ 今回はいつもとちょっと違うお知らせです。それは、私が、初めて演出する舞台を、見にいらっしゃらないかしら?というお知らせなのです。 今から丁度、30年前、上等の喜劇専門ばかりを上演する劇団を、女優、賀原夏子さんがお作りになりました。賀原さんはご存知のように、文学座で杉村春子さんの片腕のような、芸達者な方でした。で、珍しく、喜劇専門の劇団ということで、旗揚げ公演は、喜劇作家で演出家の飯沢匡先生が演出なさる、「マカロニ金融(ファブリッツイ方式)」に決まりました。 そして主役の17才の少女の役を、私にと、賀原さんのご希望があり、喜んで出させて頂きました。この芝居は大変に評判が良く、初演のファブリッツイは、当時NLTの俳優だった北見治一さんでしたが、それをご覧になった森雅之さんが、どうしてもその役をなさりたいということで、再演の運びになりました。あの、天才とよばれた、ハンサム俳優、森雅之さんと芝居ができる喜びが、どんなだったか、ご想像下さい。この再演で、NLTは珍しくも旗揚げ公演で、しかも喜劇で、芸術祭奨励賞を受賞してしまったのです。それから30年。 私は「ニノチカ」を始め、いろいろな芝居で、NLTと関わってきました。そういう関係で、NLTの30周年記念公演ということで、当時の飯沢先生の演出を覚えているだろうということで、私に演出を・・・という運びになったのです。私としても、全部おぼえているという訳ではないのですが、少なくとも、飯沢先生が皆さんに伝えたかった、詩情というものは、おぼえているつもりです。そんな訳で、多分、私の最初で最後の演出になるだろう「マカロニ金融」、見ていただければ嬉しいです。私は演出だけで、出演はしません。演出という仕事が、どんなに大変か、今回よくわかりました。 全部の役について、自分がやるくらい理解していなければならず、イメージがはっきりしていなければならないからです。これは、とても不思議な芝居です。フランスで大当たりを取りました。チラシの絵は、まだ無名だった頃の山藤章二さんです。フルートの精密さに、飯沢先生は感激なさいました。山藤さんは、楽器屋さんまで行って、調べて描いたと、おっしゃいました。こういう一つ一つが積み重なって、いい芝居が出来たのです。 NLTの俳優さん総出演。そして客演は、ご覧のように浜畑さん、団さん、平田さんと、役柄ピッタリの舞台です。 私の、秋のセゾン劇場は「喜劇キュリー夫人」です。今年はラジウム発見100年だそうで、これも記念公演になりそうです。また追ってお知らせをお送り致します。夏の一夜、ぜひ純粋な人々をご覧にいらして下さい。亡くなった賀原夏子さんも、飯沢先生も、お喜びと思います。お待ちしています。出来るだけ感動的な舞台に仕上げるつもりですので!
1998年 7月 |
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劇団NLT 03(3403)2763